前回の「ボトム形状」に書いた事の続きになるかも知れません。
試乗機に「クルーザー」というシリーズがあります。
パウダーボードが流行った時期はもう過ぎ去り、今となっては文化と言えるくらいに定着し、既に一つのジャンルを確立していると言っていいと思います。
しかしその多くが「尖った性能」である事に違和感を感じています。
ペンタゴンチャートというのでしょうか?
レーダーチャート?
こんな感じのやつ
↓↓↓
パウダーボードってこの手のチャートで性能を表現すると、やたら突き抜けてる部分がありつつ捨てているところは全然伸びていなくて、トータルの面積で言うと小さいものが多いような印象があります。
そういった性能を否定するつもりは一切ありませんし、何かに特化した性能のデザインというのは、それこそオーダーメイドの本領かも知れませんし、そういったオーダーも沢山あります。
が、しかし。
renkaineSnowboard 代表個人の嗜好としては、一本の板で様々なフィールドを楽しめるべきという考えです。
いつも乗ってるあいつと、どこにでも行きたいんです。
自分の考えを形にできてしまうのは、オーダーメイドブランドの特権。
そういった考えのもとに製作した試乗機が「クルーザー」シリーズです。
シリーズとか大きなことを言いつつ現在は1580のワンサイズのみですが、このオフの間にレディースサイズも製作予定です。
来シーズンに開催予定の試乗会で、ぜひお試しいただければと思います。
コンセプトは「滑る事」に比重を置いたデザインで、パウダーでも圧雪でも不整地でも、技術的な事にあまり神経を尖らせずに、気持ちよくクルージングできるデザインだから”クルーザー”。
パウダーライドもカービングもしつつ、パイプだってパークだって流れで入れちゃいます。
スワローテールだってジブはできるけど、そう言う事ではなくさらっと自然に、周りに溶け込む空気感だけどよく見るとパウダーボードみたいなシェイプだね、っていう楽しみ方がオススメ。
有効エッジを基準とし、ウエスト位置・スタンスセンター・キャンバー頂点・サイドカーブスプラインなどの要素がかなり複雑に入り組んでいて、セットバックなのかセットフロントなのか簡単に決めつけるのが難しい設計です。
赤がノーズ(テール)幅と有効エッジ長の関係性で、
青がウエストとスタンスセンターの位置関係。
緑がウエストに対してのキャンバー頂点位置と、有効エッジとの関係性。
オレンジの(510.00前後それぞれ)が真円長で、(120)と(30)がそれぞれ有効エッジのノーズ側とテール側端点を繋ぐスプライン長。
全長や有効エッジ長から見たウエスト・スタンスセンター・キャンバー頂点はそれぞれセットバックされているが、ウエスト位置から見たスタンスセンターはセットフロント。
サイドカーブ真円部よりノーズ側にスタンスセンターがあり、接雪長のバランスと比べても前側に足を置くデザインになっていて、なかなか複雑。
ウエストも太く(262mm)て、一見ターンは難しそうに見えるかも知れません。
が、乗ってみれば”クルーザー”と名付けたことを理解していただける方は多いと思います。
弱点は、メインスタンスで乗ることを前提としたデザインなので、スイッチはかなりテクニカルになってしまうところでしょうか。
そこに着目して手を加えたタイプのモデルも作りました。
renkaineSnowboard 代表が、来季に乗るモデルになりそうです。
それについてはまたいずれ書きます。